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割賦販売法の遅延損害金の上限


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割賦販売法の遅延損害金の上限について

民法上は、損害賠償金や違約金について当事者間で定めたときは、裁判所がそれを増減することはできないと規定しています。

よって、当事者間の約定が優先します。

昭和59年の改正で、割賦販売業者が割賦販売の方法によって、指定商品、指定権利を販売する契約、指定役務を提供する契約が解除された場合には、次に掲げる額と、これに対する商事法定利率年6分(%)による遅延損害金の額とを加算した金額を超えて、購入者や役務の提供を受ける人に請求できないことになっています。

よって、当事者間に損害賠償額の予定や違約金の定めがあったとしても、これを超えて請求することはできません。

割賦販売の場合
◆その商品やその権利が返還された場合
・・・契約が解除された場合は、当事者は原状回復義務を負いますので、購入者は商品を返還することになります。

この場合、商品に減耗があれば、割賦販売業者は損害賠償請求ができます。その損害賠償額の範囲ですが、通常の使用料の額、権利の返還の場合は、その権利の行使によって通常得られる利益相当額になります。

◆その商品や権利が返還されなかった場合
・・・この場合は、その商品の割賦販売価額に相当する額が、損害賠償額の範囲になります。

これは、契約解除に伴う補償賠償の額は、現金販売価額に割賦期間中の全手数料を加算した割賦販売価額に相当するという考え方によります。

◆その商品・その権利を販売する契約やその役務を提供する契約の解除が、その商品の引渡し・その権利の移転・その役務の提供の開始前の場合
・・・その場合は、契約の締結と履行のために通常要する費用の額を損害賠償の範囲としています。

ここでの「通常要する費用」というのは、契約締結に際しての書面作成費、印紙税等、契約履行に際しての代金取立ての費用、催告の費用などがあります。また、通常要する費用ということですので、実際にかかった費用ということではなくて、業界の平均費用が標準になります。

よって、その契約にのみ特別にかかった費用は、そのまま請求できないことになります。

ちなみに、この規定は、特定商取引法による特定継続的役務に該当するものは、適用外になります。

特定商取引法の特定継続的役務の場合
特定商取引法の特定継続的役務の定義・・・継続的に役務提供を受けることにより目的を実現させることをもって誘引が行われ、かつ、その目的の実現が確実でない役務を有償で、一定期間以上にわたって提供すること

特定商取引法の特定継続的役務契約は、クーリングオフ期間の経過後でも、役務の提供を受ける人は、その理由を問わずに解除できることになりました。これによって、割賦販売法でも「契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限」の条文にその事項の取扱が明記されました。

◆その役務が特定商取引法の特定継続的役務の場合で、その解除がその役務の提供の開始前の場合
・・・契約の締結と履行のために通常要する費用として、その役務ごとに政令で定めるものと規定されています。

政令では別表で、次のように規定しています。
・エステティックサロン・・・・・・1万5,000円
・学習塾・・・・・・・・・・・・・・・・・1万1,000円
・家庭教師派遣・・・・・・・・・・・2万円
・パソコン教室・・・・・・・・・・・・1万5,000円
・結婚相手紹介サービス・・・・3万円

◆その役務が特定商取引法の特定継続的役務の場合で、その解除がその役務の提供の開始後の場合
・・・契約の解除によって、通常生ずる損害額として政令で定める額とされています。

政令では別表で、次のように規定しています。
・エステティックサロン・・・・・・2万円か契約残額の1割のどちらか低い額
・語学教室・・・・・・・・・・・・・・・5万円か契約残額の2割のどちらか低い額
・学習塾・・・・・・・・・・・・・・・・・2万円か1か月あたりの授業料相当額のどちらか低い額
・家庭教師派遣・・・・・・・・・・・5万円か1か月あたりの授業料相当額のどちらか低い額
・パソコン教室・・・・・・・・・・・・5万円か契約残額の2割のどちらか低い額
・結婚相手紹介サービス・・・・2万円か契約残額の2割のどちらか低い額

割賦購入あっせんの場合
支払総額に相当する額です。つまり、割賦販売における割賦販売価額に相当する額で、現金購入価額に割賦購入あっせんの手数料を加算した損害賠償の額をいいます。

▽リボルビング方式について

次の理由によって、対象から除外されています。

●手数料が、毎月一定日の総債務残高に手数料率を乗じて決定されるので、購入時点では、手数料の額が確定しないからです。これでは、履行利益が明確になりません。
●弁済金の支払遅延が発生した場合にも、新たな商品を購入することにより総債権残高が変化してしまうので、支払請求元本が確定できないからです。

ただし、リボルビング方式においても、通達で、支払義務が履行されない弁済金については、利息制限法の範囲を目安に、一定率を乗じた額を遅延損害金として請求するよう指導しています。

関連トピック

割賦販売法と業者の契約解除、残金一括請求について

20日以上の相当な期間を定めてその支払を書面で催告する必要があり、その期間内に支払がなかったときに限ってのみ、契約を解除したり、残金の一括請求ができることになっています。

民法では、履行遅延による解除権については、次のように規定されています。

「契約当事者の一方が期日がきても債務を履行しないときは、相当の期間を定めて債務を履行するように催促し、それでも相手方が債務を履行しないときは、はじめて契約を解除することができる」とあります。また、「相当期間を定めて催告し、その期間内に支払がないときは契約の解除ができる」としていて、相当期間については具体的な規定がありません。

▽なぜ、民法では「相当期間」の猶予をするのですか?

どの契約においても、通常は、定められた期限が経過すれば、債務者は「債務不履行の責任」を負っているといえます。ですから、改めて解除のために催告するのは何かおかしいような気もします。

しかしながら、民法は、なるべくなら契約関係を維持し、本来の目的を達することが望ましいと考えているのです。そこで、「相当の期間」を猶予することで、もう一度催促して、債務者に再考を促すことにしているのです。

▽「相当の期間」とは、どのくらいの期間なのですか?

上記のように、民法には規定がないので、その時々の取引の内容や、債務の性質などに応じて、個別具体的に、客観的事情で定まることになります。これは、裁判例でも、「催告期間が不相当であっても、催告の時と解除の時との間に相当の期間が経過していればよい」というように、日数は明確にしていません。

通説・判例では、「3日程度」とされています。

▽割賦販売法の場合は?

割賦販売や割賦購入あっせんにおいて、購入者が指定商品や役務提供代金の賦払金・弁済金を支払わないということで、契約を解除したり、期限の利益を喪失させて残金を一括請求したりしようとするときは、20日以上の相当な期間を定めて、それを書面で催告し、その期間内に支払がないときに限られています。

これは、割賦販売などの場合は、うっかり支払期限を過ぎてしまったり、短期的な手元不如意を原因として、残金を一時に求めることは、購入者にとって著しく不利になるからです。この「20日間以上の相当な期間」というのは、購入者が金策をする期間も考慮されているのです。

▽割賦販売で、「1日でも支払が遅延した場合には期限の利益を喪失する」という特約を結んだ場合、どうなるのですか?

割賦販売法の対象になる取引では、こういった特約を結んでも無効になります。金銭消費貸借契約等では、一般的な特約ですが、割賦販売法では、この点で異なるということになります。

▽では、割賦販売法における期限の利益喪失の事由は、どのようなものですか?

割賦販売法施行規則では、次の3つに限定されています。

●購入者の支払義務の不履行
●購入者の信用が著しく悪化した場合
●購入者に重要な契約条項違反があった場合

上記の「購入者の支払義務の不履行」の場合には、20日間以上の相当な期間を定めて、その支払を書面で催告しなければなりません。

ちなみに、本催告は、到達主義を採用しています。

よって、催告状が購入者に到達した日から20日以上ということになります。

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